介護現場のセキュリティ対策|「情報を守る」は「利用者を守る」こと。
まず明日からできるたった3つの新習慣
介護現場で日々奮闘されている皆さん、お疲れ様です。「セキュリティ対策」や「情報管理」という言葉を聞くと、少し難しそうだな、なんだか怖いな、と身構えてしまいませんか?「パソコンや機械は苦手だから…」と感じる方も多いかもしれません。
でも、実は介護現場におけるセキュリティは、難しいITスキルの話ではありません。それは、私たちが普段行っている「利用者様のプライバシーへの配慮」や「気配り」の延長線上にあるものなのです。
今回は、専門用語を使わずに、まず明日からすぐに始められる、ぜひ皆様に覚えて頂きたい「情報を守るための、ちょっとした新習慣」についてお話しします。利用者様の笑顔を守るために、ぜひ一緒に確認していきましょう。
なぜ介護現場で「セキュリティ」が大切なのでしょうか
まず、なぜ私たちがこれほどまでに情報管理に気を使わなければならないのか、その理由を改めて考えてみましょう。
それは、情報は「利用者様そのもの」だからです。
介護現場で扱う情報には、お名前や住所、電話番号や既往歴といった基本的なことだけでなく、ご家族との関係や、その方が大切にしてきた思い出、そして日々の笑顔の写真なども含まれます。これらの情報は単なるデータではなく、利用者様の尊厳そのものです。もしこれらが外部に漏れてしまえば、利用者様やご家族を深く傷つけ、長年積み重ねてきた信頼関係を一瞬で失ってしまうことになりかねません。
情報を守ることは、利用者様の安全と安心を守ること。「ドアの鍵を閉める」のと同じくらい、とても自然で大切なケアの一つなのです。
現場でよくある「うっかり」事例(ヒヤリハット)
では、具体的にどのような場面でリスクが潜んでいるのでしょうか。現場で起こりがちな「ヒヤリハット」を見てみましょう。
一つ目は「タブレットやスマホの置き忘れ」です。 記録を入力している最中にナースコールが鳴り、慌てて画面を開いたままデスクに端末を置いて現場へ向かってしまう…。よくある光景ですが、その間に面会に来た方や他の業者さん、利用者様が画面を見てしまう可能性がありますよね。
二つ目は「SNSやLINEでの写真共有」です。 「レクリエーション中の笑顔が素敵だったから」と、スマホで撮影し、良かれと思ってご家族や同僚にLINEで送る。その時、背景に他の利用者様が写り込んでいたり、誤って全く別の方に送信してしまったりするリスクがあります。
三つ目は「パスワードの管理」です。 「忘れると困るから」と、タブレットの裏にパスワードを書いた付箋を貼っていませんか?これは、家の鍵を誰にでも見えるポストの上や、玄関先の植木鉢に置いてあるのと同じくらい危険な状態です。
今日からできる!情報を守る「わたしの新習慣」3選
こうしたリスクを防ぐために、明日からできる3つの簡単な習慣をご紹介します。
習慣1:画面ロックは「ドアの鍵」
席を立つときや端末から目を離すときは、必ず画面を消す(スリープ状態にする)癖をつけましょう。出先や職場でご自身がお手洗いに入る時にドアの鍵をかけるのと同じ感覚です。ノートPCを閉じる・電源ボタンからスリープモードを選んで「ポチッ」と押す。ほんの数秒の習慣が、大きな事故を防ぎます。
習慣2:送信前の「指差し確認」
写真やメッセージを送る前には、一呼吸おいて「指差し確認」をしましょう。「宛先は合っているか?」「背景に他の人が写っていないか?」「この内容を送っても大丈夫か?取り消しはできないぞ」こちらもほんの数秒の確認が、あなた自身を守ることにもつながります。
習慣3:パスワードは「自分だけの秘密」に
パスワードを端末に貼るのは卒業しましょう。ただし「名前」や「誕生日」など他人から分かりやすいパスワードだけでは他者から推測されやすくなります。例えばですが、好きな食べ物を「合言葉」にしてみてはいかがですか?
(例:「お寿司が食べたい」)
- フレーズを決める まずは、ふとした時に思い浮かぶ好きなことを選びます。
「お寿司が食べたい」 - ローマ字にする これだけで、自分は忘れないけれど他人には推測されにくい長さになります。
osushigatabetai - 記号や数字で「味付け」をする 自分の中で「aは@に変える」「最後に!をつける」といった簡単なルールを決めます。
osushig@t@betai! (「a」を「@」に変えて、最後に「!」をプラス)
ICTツールを活用して、もっと安全・便利に
最後に、道具選びも大切です。個人のLINEを使って業務連絡をすることは、セキュリティの観点からはあまりお勧めできません。
現在は「LINE WORKS(ラインワークス)」のようなビジネス用チャットや、セキュリティ対策がしっかり施された「介護記録ソフト」など、介護現場に特化した安全なツールがたくさんあります。これらは、万が一スマホを紛失した際も遠隔でデータを消去できたり、情報漏洩を防ぐ機能が備わっていたりします。
「便利だから個人のアプリで」ではなく、「安全だから専用のツールで利用者様を守る」。この意識を持つことも、プロフェッショナルとしての嗜みといえるでしょう。
まとめ
セキュリティ対策といっても、特別な技術は必要ありません。「画面を消す」「確認する」「大切に扱う」。これらはすべて、私たちが利用者様に対して日々行っている「思いやり」の行動と同じです。
情報を守ることは、自分自身を守り、そして何より利用者様の平穏な暮らしを守ることにつながります。ぜひ、明日からの業務で「あ、画面消さなきゃ」と思い出していただければ嬉しいです。
監修
たんくす 佐藤 純子
Tankusu
活動地域:京都府
サービス種別:居宅介護支援
職 種:介護支援専門員
好きなツール:chatwork、Googleスライド、dropbox
保有資格:介護福祉士、介護支援専門員



