【政策効果を実証】宮崎県都城市、ケアプランデータ連携システム普及率 全国第1位達成(人口10万人以上都市)~介護DX推進による生産性向上モデル~

1. 概要

NPO法人タダカヨ(所在地:東京都大田区、理事長:佐藤拡史)は、宮崎県実施の、「宮崎県ケアプランデータ連携システム活用促進モデル地域づくり事業」を、業務委託元である株式会社善光総合研究所(以下「善光総研」)から再委託を受け、都城市をモデル地域の一つとして集中的な支援を展開した結果、人口10万人以上都市における、ケアプランデータ連携システム普及率において、全国第1位達成した!

2. 事業の目的:現場の生産性向上と県下への好事例展開

本事業は、介護現場の喫緊の課題である生産性向上と、限られた資源の中でのサービス質維持・向上を目指し、ケアプランデータ連携システムの普及促進を図る事業であり、都城市を含む県内3地域をモデルとして、居宅介護支援事業所と介護サービス事業所間の情報連携をシステム化することで、書類搬送等の時間削減や多職種連携の円滑化を図り、そこで得られた成功ノウハウや具体的な効果を県内の他の介護事業所へ横展開していった。

3. 成果を生んだ体制と「伴走型」支援の力

宮崎県からの委託を受けた善光総研は、長年の介護現場支援やICT導入実績に基づき事業全体を統括。特に、現場の実情に精通し、きめ細やかなICT活用支援に定評のある当法人を再委託先に迎えることで、それぞれの専門性と知見を結集した推進体制を構築した。

この体制のもと、モデル地域内の介護事業所に対して実施されたのが、徹底した「伴走支援」であった。システムの導入検討段階から、電子証明書やシステム自体のインストール、介護ソフトとの連携設定、具体的な操作方法のレクチャーに至るまで、各事業所のITスキルや環境に合わせた個別かつ継続的なサポートを実施した。

4. 「伴走支援」の具体的な内容

伴走支援では、以下の内容を組み合わせ、各事業所の状況やニーズに合わせたきめ細やかなサポートを提供。

  • IT環境の確認:
    各事業所の既存のIT環境(PCのスペック、ネットワーク環境など)を確認し、システムの導入に必要な要件を満たしているかを確認。
    また必要に応じ、ハードウェアのアップグレードやネットワーク環境の改善を提案。
  • 電子証明書のインストール:
    介護報酬請求に必要な電子証明書のインストールを支援。
    インストール手順の説明だけでなく、トラブルシューティングにも対応。
  • 連携システムのインストール:
    連携システムのインストール作業を代行、または手順を丁寧に説明。
    インストール後の基本的な設定もサポート。
  • 介護ソフト導入支援および介護ソフト設定確認:
    連携システムと連携する介護ソフトの導入を支援。
    すでに介護ソフトを導入している事業所に対しては、連携システムとの設定方法を確認し、必要に応じて設定変更を支援。
  • 連携システムライセンス料の支払い:
    連携システムのライセンス料の支払い手続きを代行。
  • ケアプランデータ連携システムの使用方法の個別レクチャー:
    システムの基本的な操作方法から、より高度な活用方法まで、個別レクチャーを実施。
    実際の業務シナリオに沿った説明を行い、現場でのスムーズな利用を促進。
  • 業務運用フローの見直し:
    システム導入を円滑に進めるために、必要に応じて連携システムを活用した業務運用フローの見直しを提案。
    システム導入による業務効率化を最大限に引き出すためのコンサルティングを実施。
  • 多様なサポート手段:
    訪問、電話、遠隔サポート、メールなど、多様な手段を組み合わせ、各事業所の状況やニーズに合わせてサポートを提供。

都城市においては、124の参画事業所に対し、合計191回の訪問支援、103回の電話支援、49回の遠隔サポートといった非常に手厚い人的支援を提供し、システム導入・稼働まで導いた。
この個別最適な「伴走支援」こそが、多忙な現場のIT導入ハードルを劇的に下げ、今回の高い普及率達成に繋がった最大の要因と言える。

さらに、導入支援のための研修会や、導入効果、業務フローの見直しに関する好事例紹介セミナーなども複数回開催。システム導入だけでなく、実際の業務でシステムを「使いこなす」ための具体的な手法やメリットを丁寧に伝え、現場の抵抗感を払拭し、積極的な活用を促した。

5. 都城市が全国第1位となった要因

都城市が人口10万人以上の都市の中で全国第1位となる導入普及率36.2%(WAM NET公開データ)を達成できた背景には、上記のような善光総研とNPO法人タダカヨによる手厚く継続的な伴走支援に加え、都城市内の介護事業所の皆様の、変化を受け入れ、より良いサービス提供を目指す高い意識と積極的な協力があったことである。そして、行政・受託事業者・現場支援団体が一体となった、事業目的の明確化とそれを実現するための具体的な実行計画、迅速な課題対応が成功の鍵となった。

5. 今後の展望

本事業を通じて構築されたモデル地域の成功事例、特に都城市での全国第1位達成という成果は、宮崎県だけでなく、全国の自治体や介護事業所にとって、ケアプランデータ連携システム普及促進の有効なモデルケースとなると言える。

今後は、本事業で得られた知見や成功事例をまとめた好事例集を広く共有するとともに、都城市での成果を積極的に情報発信していくことで、県内全域でのシステム活用をさらに加速させ、介護現場の生産性向上、そして県民へのより質の高い介護サービスの提供に繋げていく予定である。

介護分野のDXは待ったなしの状況であり、今回の都城市での成果が、全国各地での介護DX推進の大きな弾みとなることを期待する。