
「ケアプランは、支援計画ではなく”生き方の地図”なんだ」
こちらの言葉を遺してくださった高室成幸先生は、2025年6月にご永眠されました。しかし、先生の想いは確かに私たちの中に受け継がれています。
今、介護の現場では「本人らしさ」を支えるケアのあり方が、あらためて問い直されています。高室先生が20年をかけて育て上げたCADL(文化的日常生活行為)という考え方は、そんな時代に生まれた”新しいまなざし”でした。
そして今、私たちはそのCADLを、ChatGPTをはじめとする生成AIという新しいツールと出会わせ、ケアの未来を描くイベントを開催します。
CADLとはなにか?そして、なぜ今、必要なのか。
CADLとはなにか?そして、なぜ今、必要なのか。
食事・排泄・移動──それがADL。 料理・買い物・金銭管理──それがIADL。
では、「毎朝仏壇に手を合わせること」や「昔の仲間とラーメンを食べに行きたい」という気持ちは、どこに表現され、また、支援されるのでしょうか?
CADLは、そうした”その人のらしさ=本人らしさ“を見つめ、支える概念です。
高室先生は、介護保険制度が始まって間もない2000年代初頭から、ICF(国際生活機能分類)に感じた”ある欠落”に気づきました。それは、「心の支援」が十分に理論化されていないということ。
先生はケアマネジメントを”本人らしさを支える営み”へと進化させようとしてきたのです。
高室先生とタダカヨの出会い
私たちNPO法人タダカヨと高室先生の出会いは、2021年に配信した「オンライン担当者会議の普及を目的としたYouTube動画」への監修依頼がきっかけでした。
その後、クローズドなFacebookグループで 「オンラインの担当者会議って、本当に意味があるのか?」 「支援会議に、本人の声をどう残すべきか?」
そんな問いを、全国の仲間たちと真剣に交わしてきました。
そこで感じたのは、理論と現場が本音で交わる場所の力強さです。私たちの法人にとって、高室先生は「指導者」ではなく、”ともに問い、歩く仲間”でした。
先生の想いを受け継ぐ使命
高室先生は2023年から療養生活に入られ、先月6月にお亡くなりになりました。しかし、この企画については企画段階から深く関わってくださり、「これまでの歩みを未来につなげてほしい」と強くお話しくださいました。
先生の言葉や想いは、この企画を通して確かに私たちのなかに受け継がれていきます。
「AIは、らしさを支えることができるのか?」
AIとケア。 それは、便利か不便か、正確か不正確か、という話ではありません。
「本人らしさを、ことばにできるのか?」 「”伝えたかった気持ち”を代弁できるのか?」
その問いに向き合う試みです。
実際に、ChatGPTなどの生成AIツールを活用してケアプランの目標がまるで別物のように”らしく”なった体験談も、今回ご紹介します。
「CADL×生成AI」 それは、「あなたはどう生きたい?」という問いを、もう一度、ケアマネジメントの中心に戻す挑戦です。
プログラム詳細
【第1回】2025年8月5日(火)13:30-15:00 『CADLと生成AIが出会うとき』
高室先生の想いを受け継ぐCADLの基礎理解
CADL実践とAI活用事例紹介
【第2回】2025年8月22日(金)13:30-15:00 『CADL的ケアプランとAI活用のリアル』
AI利用時の倫理・仮名化の方法
現場への導入ノウハウ
事例発表者の募集案内
【第3回】2025年10月17日(金)13:30-15:00 『本人らしさを言葉にする、実践発表会』
参加者による実例紹介
対話とフィードバックの時間
本イベントは高室先生ご自身の企画監修のもとで成り立っています。「CADL×生成AI」という試みは、先生の想いを受け継ぎ、
現場での実践につなげていくための場として設計されていきます。
参加詳細
対象
ケアマネジャー、相談支援専門員、福祉関係者、生成AI活用に関心のある方
主催
NPO法人タダカヨ × 株式会社けあけあ
参加費
無料(事前申込制)
会場
オンライン(Zoom)
アーカイブ視聴
各回終了後、参加者に限定配信予定
高室先生はCADLを「なる私をともにめざす視点」と語りました。
「なりたい私」「まだなれない私」「なれるかもしれない私」
ケアとは、それを一緒に見つめる営みではないでしょうか。
このイベントは、学びの場であり、手渡しの場です。高室先生の想いを受け継ぎ、誰かの「らしさ」を支援するために。
あなたのご参加を、心よりお待ちしています。